不燃木材

不燃木材の製造法

不燃木材

常圧浸漬法

不燃木材・合板を製造する方法で一番多くわかりやすいのは常圧浸漬法でしょう。 これは防炎剤の入った容器に木材を漬けて、取り出した後に乾燥させる方法です。 例えるならおでんの下ごしらえのようなもので、大根に味がしっかりと染みこむよう、木材に防炎剤を染みこませます。 漬ける時間が短すぎると表面だけの加工になってしまうので、ある程度時間をかけてじっくりと漬けこみます。 防炎剤に浸すことで木材の内部まで浸透させますので、表面だけでなくその奥までもを燃え難くすることができます。 似たような方法に減圧浸漬法というのもあり、こちらは容器を減圧してより内部まで防炎剤が浸透するように加工します。 常圧浸漬法よりも短時間で効率よく難燃化することができますが、その分装置もおおがかりになります。

接着剤に防炎剤

不燃木材の合板を製造するのに使われる方法としては、接着剤に防炎剤を含ませるという技術があります。 合板とは何枚もの板を貼り合せているので、その板と板の間に塗られる接着剤が燃え難くなっていれば、合板自体も燃え難くなるのです。 表面にある一枚目の板が燃えたとしても、火が2枚目の板に届くためには接着剤を通らなければならず、そこに防炎剤があれば炎の行く手を遮ってくれます。 完全に合板を突き抜けて穴が空くほど燃やすには何重にも塗られた防炎剤入り接着剤を突破せねばならず、火の進むスピードを遅らせることになります。 合板に含まれる木材は普通に燃えますが、それでも内部には幾重にも壁が組み込まれているようなものですので、激しい火災現場でも大きな効果が期待できます。

表面に防炎剤

もっと単純な方法に、木材の上から防炎性能を持つ表面材を貼り合わせることで表面を難燃化するというのがあります。 表面さえ燃えなければ内部が燃えることもありませんので、表面材が突破されない限りは全体が難燃化されているのと同等の効果があります。 表面材は塩化ビニールシートが多く、熱に強くなければなりません。 この方法には欠点があり、静かな火事には強いのですが激しい火災現場では効果を発揮できないケースも考えられます。 表面材が貼られているのは表面だけですので、家屋が崩れ落ちるほどの火災現場では木材の柱もへし折れて表面材の中まで剥き出しになってしまうことも想定され、 そうなるとそこから普通に燃えてしまいます。 多少は燃えにくくなりますが、ガードを突破された場合は他の方法で対策された不燃木材に比べて効果も期待薄となるでしょう。